すずかぜ彩月

生きるカラーセラピー英訳絵本

<絵本タイトル> ひかりのなかで またいつか
         Someday Again, in the Light
<作家名> すずかぜ 彩月 Suzukaze Satsuki

<あらすじ>
地上に降り注ぐ虹の色である、朱赤)から菫色までの色を、誕生してからの様々な経験にのせ、カラーセラピーの要素を織り交ぜて描いた絵本です。喜びも悲しみも孤独な葛藤も経験したところで、自分の使命に気づき、紅赤色の愛で満たされます。そして、この世の学びを終えた時、虹色は輝く光となって天に還ってゆきます。愛しい人たちにいつかまた巡り合えることを信じて......。


作品のポイント

♡美しい日本の色名と、五音・七音がベースのリズム。日本語らしさあふれる絵本です。
♡色と心がつながる瞬間がきっとある、カラーセラピー 絵本です。
♡日本語、英語の両方でお楽しみいただける絵本です。

作品に込めた思い

~シスターの言葉~ このお話が生まれたきっかけは、中高時代にお世話になったシスターの言葉です。 私は母校の女子校で働いているのですが、そこで校長をお勤めになったシスターは、卒業式で、生徒たちに笑顔でこんなお話をなさいました。

「このメンバーでここに集うのは今日が最後です。特にシスターはおばあちゃんなので、もうすぐ天からお迎えがくるでしょう。でも大丈夫、私たちはまたいつか神様のもとで必ず会えますからね。本当に会えるんですよ。では、その日まで、さようなら。バイバイ。」

人生に限りがあることをこんなにも明るく受け止め、そして力強く、また会えると信じていらっしゃったシスター。愛と祈りの中でご自身の使命を全うなさったシスター。彼女は2019年の終わりに穏やかなお顔で天にお帰りになりました。「またいつか会えるから」という魂の絆を感じる彼女の言葉は、今でも私の心にふっと蘇ります。

~思春期を生きる子どもたちへ~

絵本の学校でお話を書こうと思った時に、シスターのことが心に浮かびました。そして「このお話を誰に届けたい?」と何度も考えた時に、心に浮かんだのは、私が勤める学校に通う子どもたちをはじめ、今を生きる中高生でした。「中高時代」「青春」......キラキラした素敵な響きですが、光と闇は紙一重。心にいろいろなものを抱えて、毎日生きることが苦しい子たちが本当はたくさんいるのです。でも、学校では明るくケラケラと笑っていたりするのです。彼らの笑顔はまさに虹色。嬉しくても楽しくても、寂しくても傷ついていても笑うのです。どうやって暗闇を抜け出したらいいのかわからず、笑顔の下でもがいていることもあるのです。かつて私もそんな子どものうちのひとりでした。

~パステルアート~

自分のことがわからない、どうして生きているのかわからない、自分
に自信がなく、自分に価値を見出すことができなかった中高時代、私が心癒され没頭したものは、パステル&色鉛筆画でした。 パステルに出会ったのは14歳の終わり頃。キラキラしていてそれでいて柔らかな色、色、色!私は夢中で絵を描きました。10本の指を使い、直に画用紙を触って色を塗り込み、紙のざらざらした質感を感じながら絵を描く時間は、確かに生きていることを実感できる時間でした。青い空、白い雲、草原、リンゴの木の下で休む少女。私は絵の中に自分を生かすことで、心の平安を得ていたように思います。(中3の頃の絵)

~苦労した「漆黒」のシーン~

絵本のなかでは「漆黒」のシーンの文章作りが1番苦労し
たように思います。乗り越えたはずの思春期の自分を呼び覚まし、過去の自分と向き合う作業がなかなか大変でした。一度書いた文を、今回扉字を書いてくれた中高時代からの友人、フォトグラファー&アクセサリー作家のよる子*に見せたところ「違う!彩月の思春期の漆黒は、こんな甘いもんじゃなかった!」とまさかのダメ出し。(さすがクリエイター、半端な作品には容赦ないです。)その後、とことん過去の自分に向き合うことで、「漆黒」は完成しました。 完成版を改めてよる子*に見せると「これよ!これが彩月よ!これを待っていたのよ!」と。 ようやくブラック彩月に合格サインをだしてもらえました。

~人が死を迎えるときに後悔することとは?~

『ひかりのなかで またいつか』は自分の人生を存分に生ききる主人公「わたし」の絵本です。2018年に米誌『Emotion』に掲載された「The Ideal Road Not Taken」の筆頭筆者で、心理学者のTom Gilovich氏の研究によると、人が死ぬ前に後悔することは「理想の自己」として生きることができなかったこと、挑戦しなかったことなのだそうです。『ひかりのなかで またいつか』をお読みになった方が、ご自身の大切ないのちを、自分らしく輝かせて生きようと思える、そんなきっかけになるといいなと思います。

~カラーセラピー~

この絵本は、今ご自身が気になる色に気づいていけるような、カラーセラピーの要素も兼ね備えています。作中に登場する色を順番に並べてみました。日本の色名って、こんなに美しいのだなと感じて頂けたら嬉しいです。

※この♡のうち、紅赤色の♡が絵本のどこかに隠れています♪


今、ご自身がふっと気になった色はありますか?必ずしも好きな色でなく「気になる色」というのがカラーセラピーのポイントです。もちろん、結果的に「気になる色」=「好きな色」になる場合もありますよ。「いつもは好まないのだけれど、いまはなぜかこの色に惹かれる」「なぜか目にとまる」「最近、この色の洋服ばかり買っているなぁ」「この色を見ると落ち着く」......理由はなんでも構いません。色を選んだら、キーワードをぜひ読んでみてくださいね。

①朱赤(しゅあか)
生きる意志・生命・情熱・エネルギー・リーダーシップ・チャレンジ精神・バイタリティ・闘争心

②薄桃色(うすももいろ)
優しさと愛・無条件の愛・柔らかさ・女性性・母性・慈しみ・いたわり・守りたい・守られたい

③橙色(だいだいいろ)
温かな繋がり・明るさ・親しみやすさ・食欲・健康・陽気・人との関わり・豊かな創造性

④向日葵色(ひまわりいろ)
希望と知性・光・好奇心・探究心・向上心・自信・個人の意志・アイディア・輝く未来

⑤若草色(わかくさいろ)
成長の過程・新芽・一歩踏み出す・新しい挑戦・転機・新鮮・新たな舞台・爽やか・軽やか

⑥花萌葱色(はなもえぎいろ)
調和とバランス・自然体・癒し・リセット・安定・リラックス・信頼・共感・堅実・平和

⑦薄水色(うすみずいろ)
悲しみの浄化・創造力・芸術的表現・清潔・洞察力・個人から全体へ・新しい時代・自由と責任

⑧群青色(ぐんじょういろ)
平和と安らぎ・遠い憧れ・冷静・誠実・優しさ・責任感・秩序・受容・コミュニケーション

⑨瑠璃紺色(るりこんいろ)
自己の探究・鎮静・神秘・本質・信念・理想・内なる思考・繊細・内省・集中力・聡明・直感

⑩漆黒(しっこく)
終焉そして再生へ・品位がある・格式高い・威厳・確固たる意志・力強さ・遮断・保護・印象的

⑪菫色(すみれいろ)
奉仕の精神・ヒーリング・回復・使命の実践・成熟・理想・高貴さ・思考と直感・人生の目的

⑫紅赤色(べにあかいろ)
揺るぎない愛・多才・ケアする人をケアする・繊細な感性・献身・完璧を目指す・責任感

選んだ色のキーワードを読んで、心にピンとくるものはありましたか? 色との出会いが、ご自身との心の対話のきっかけになりますように。このページをご覧になった方に、何かひとつでも、キラキラした光のようなものをお持ち帰りいただけたら嬉しいです。

■プロフィール

◎絵と文
すずかぜ 彩月
日本語日本文学科卒。中高一貫女子校勤務。
子どもたちに「たとえ今がつ
らくても大丈夫。いつか必ず光が見える」と伝えたいと思い教職を志した。思春期の苦しさを絵にすることで解放し、色とりどりのパステルに癒された経験から、カラーセラピスト、パステルアートインストラクターの資格を取得。
姉妹の母。

◎英語翻訳
グエン・トアー
美しい瞳にキラキラ笑顔。愛あふれる感性、豊かな才能をもつ努力の人。

◎扉字デザイン
よる子*
七色の才能と不屈の精神をもつ、車椅子写真家&ジュエリー作家。一児の母。 難病と闘いつつも毎日笑顔でにっこにこ。


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